クロノタイプ:朝型・夜型は意志ではなく体内時計の問題
クロノタイプは、個人の体内時計が24時間のどの位相にあるかを指す特性です。朝型・夜型は類型ではなく連続分布の両端であり、年齢とともに体系的に移動します。
「自分は朝型ではない」はふつう意志や習慣の問題として扱われます。クロノタイプ研究が言うのは違います——それは体の時計がどこに合っているかの問題です。
1. 類型ではなく連続分布である
まずよくある誤解です。朝型と夜型は二つの類型ではありません。 人口全体にわたる連続分布であり、多くの人は真ん中にいます。両端に名前が付いているだけです。
測定道具は大きく二つです。
| 道具 | 何を問うか | 発表年 |
|---|---|---|
| MEQ(朝型-夜型質問紙) | いつ活動するのを好むか | 1976 |
| MCTQ(ミュンヘン・クロノタイプ質問紙) | 休日に実際に何時に寝て起きるか | 2003 |
この差が重要です。MEQ は好みを問い、MCTQ はアラームなしで寝る日の睡眠中央時刻を測ります。後者のほうが体内時計の位相に近い値を与えます。
2. 年齢とともに動く
クロノタイプは固定した性格ではありません。生涯にわたって体系的に移動します。
- 子どもは比較的早い側です。
- 思春期に入ると遅くなり始め、10代後半〜20歳ごろに最も遅くなります。
- その後は年齢とともに再び早まります。
10代が遅く寝て遅く起きるのを怠惰と見る見方が、ここで揺らぎます。その時期の位相の遅れは生物学的に予想される変化です。始業時刻を遅らせた学校で睡眠時間と日中の覚醒度が改善したという報告が、この観察とつながります。
3. 社会的時差(social jetlag)
この分野で最も実用的な概念です。勤務日の睡眠中央時刻と休日の睡眠中央時刻がどれだけ離れているかを測ります。
平日はアラームで無理に早め、週末にまとめて眠ると、体は毎週時間帯を移動するのに近い負担を受けます。時差調整を繰り返すようなものなので「社会的時差」と呼びます。
この値が大きい人に観察されたものがありますが、相関であって因果が証明されたものではありません。 夜型で社会的時差が大きい側が喫煙・飲酒の頻度や代謝指標で不利に出るという報告はありますが、それがクロノタイプによるのか、ずれた生活によるのかは分けて考える必要があります。
4. 変えられるか
部分的にです。
- 光が最も強い信号です。 朝の日光は時計を早め、夜の明るい光(画面を含む)は遅らせます。
- 起床時刻を固定するほうが就寝時刻を固定するよりよく効きます。眠りに落ちる時刻は直接には制御できないからです。
- ただし生まれ持った位相を大きく動かすのは難しい。 夜型を朝型に変えるより、夜型のまま予定を調整するほうが現実的です。
5. 結果をどう使うか
- クロノタイプは良し悪しではありません。 社会が朝型に合わせて作られているだけです。
- 自分の位相を知れば重要な仕事をどこに置くかを決められます。覚醒度の高い時間帯は人によって違います。
- 社会的時差が大きいなら、週末のまとめ寝より平日の就寝を少し早めるほうを先に見ます。
- 眠れない、日中に耐えがたく眠いという場合は、クロノタイプより先に睡眠障害を見るべきです。
参考文献
James A. Horne & Olov Östberg (1976) A self-assessment questionnaire to determine morningness-eveningness in human circadian rhythms, International Journal of Chronobiology 4(2) — MEQ の原典。
Till Roenneberg, Anna Wirz-Justice & Martha Merrow (2003) Life between clocks: Daily temporal patterns of human chronotypes, Journal of Biological Rhythms 18(1) — MCTQ と睡眠中央時刻の指標。
Marc Wittmann et al. (2006) Social jetlag: Misalignment of biological and social time, Chronobiology International 23(1-2) — 社会的時差という概念の原典。
Till Roenneberg et al. (2004) A marker for the end of adolescence, Current Biology 14(24) — クロノタイプが10代後半に最も遅くなり、その後戻るという観察。
最終確認: